烏山頭水庫の八田與一像が7日に修復除幕式を行い、魂を入れる式典を行います。
奇美の許文龍氏が八田與一像の複製をずいぶん前から作っており、その複製銅像を用いて修復したそうです。
今回の事件はとても悲しく腹立たしいで、親族の方々の心痛を思うといたたまれません。
しかし八田與一像の歴史の新たな1ページとしてとらえることもできるのではないでしょうか。
通常ではあり得ないほど素早く修復できたことは、台湾の方がの八田與一に寄せる思いがあったからこそです。
首を切った犯人よりも、事件後に墓前祭までに修復するため全力を注いだ台湾人の方々に注目すべきではないでしょうか。
【これまでの八田與一像の歴史】
銅像は烏山頭水庫ダムの完成後の1931年(昭和6年)に有志の住民が作りました。
戦時中、軍から金属回収命令が出たため、銅像も撤去され武器に転造されそうになりました。
しかし地元農民の手により銅像は隠され、回収を免れました。
戦後の蒋介石時代は日本統治時代を否定するため、日本人を顕彰する銅像は破壊されました。
このため地元農民は銅像を隠し続けました。
その後、蒋介石が亡くなり国民党の絶対的な支配体制が弱まるまで銅像はずっと隠されました。
銅像が面に出せるようになったのは1981年。
地元農民の方々の強い意志があったからこそ、数々の破壊の危機を乗り越え、銅像が守られ続けました。
【新たな1ページ】
2017年に電気のこぎりで首を切られるという、悲しい事件がありました。おりしも八田與一墓前祭の3週間前です。
しかし何とかして墓前祭に間に合うように修復しようと、台南市長や嘉南農田水利会の人々が知恵を絞りました。
そんなとき奇美実業の許文龍氏から申し出がありました。
許文龍氏は万が一の事態に備え、八田與一像の複製を作っていたのです。
複製された銅像を用いて、首を切られたオリジナルの銅像を墓前祭に間に合うように修復したのです。